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移転前の旧・板橋区立中央図書館

旧・板橋区立中央図書館は2020年12月20日を最後に移転のための休館に入りました。その後、現在の中央図書館が2021年3月28日に開館しました。

以下は、移転前の旧・板橋区立中央図書館の訪問記です。

移転前の旧・板橋区立中央図書館 訪問記

last visit:2018/11/15
§ 図書館の場所

板橋区立中央図書館の最寄り駅は、東武東上線のときわ台駅。北口を出て、駅前ロータリーの右先にある常盤台小学校を右に見ながら進みます。すると、学校の先に白い建物の板橋区立中央図書館があります。

学校と反対側の隣は公園に面していて、春には桜が咲きます。図書館の窓からもこの公園が眺めることができるので、文字を追うのに疲れたときにちょっと景色を楽しんだりするのもいいですね。

§ 図書館内の様子

中央図書館は地下1階から3階までの建物です。地下は休憩室や視聴覚室。1階が児童コーナー、AV資料、貸出返却カウンター。2階は新聞・雑誌コーナーと一般書架で、レファレンスカウンターも2階です。3階が参考図書・地域資料と閲覧席という配置です。

1階は入口入ってすぐ右にカウンターがあり、左と正面の小部屋にAV資料があります。そして、廊下を歩いた奥が児童コーナーとなっています。

このAV資料の小部屋は何とも閉塞感のある部屋ですね(笑)。壁にずらりとCDが並んでいて、試聴機もあります。

この図書館ではLDとDVDを館内視聴用に所蔵しており、1人1日1タイトルまで視聴できます。この小部屋に目録があるので、それを見てカウンターに申し込むと視聴することができます。目録はレコードの目録もありました。

また、児童コーナーへと続く廊下には、「レトロかみしばい」という普通よりちょっと横長の紙芝居が展示されています。貸出もできるそうですよ。

それと、1階にはロッカーもありますね。鍵はカウンターでもらえます。

2階の書架は、自然科学・人文科学とも古い資料と新しい資料が混在していますね。「~大系」、「~課程」といった結構ボロボロの古い本があちこちの棚で見られます。

こういった本は資料としては意味があるし、私も昭和47年の小学生の連想語研究などを読んで面白かったのですが、一般的なニーズを考えると閉架にでもしまって、開架にはもっと利用頻度の高そうな本を置いた方がいいような気がしますが…。

いや、古い大系的資料が開架の棚を占めていることが問題なのではなくて、大系的資料が古いものばかりというのが問題なのか。どの学問も新説が登場したり、基礎的学問の範囲が変化したりしているでしょうからね。

また、パソコン関係の本は、図書分類で異なるジャンルのものも一緒の棚に置いています。パソコンのハード関係の本(技術のジャンルになる)とインターネットや情報科学の本(総記のジャンルになる)をパソコン関係ということで一緒に置いてくれる図書館は多いですが、ここはもう一歩踏み込んでビジネスのツールとしてのパソコンの本(経済のジャンルになる)も一緒に置いていますね。E-mail活用法とかExcel活用法のような本がありました。

日本の小説は、各段の上の隙間にも本を横にして入れているくらい、あふれんばかりに棚に並んでいます。分類は著者姓名の五十音順。但し、複数の著者による作品集は、タイトル名を元に五十音順の並びに入れられています。例えば、谷村新司(タニムラ シンジ)が書いたの本の隣に、6人の作家による『旅を数えて』(タビオカゾエテ)という本が並び、その隣に田渕久美子(タブチ クミコ)が書いた本がある、といったかたちになります。外国の小説は、「中国文学」「英米文学」「ドイツ文学」といった具合に国・地域別に分類したうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。

2階には外国語図書もあり、中国語やハングルの図書も少しありますが、大部分は英語です。読み物はもちろん、旅行ガイドや伝記本、料理本などもいろいろ。英語が苦手な人でも、料理本などは辞書をひきながら料理にチャレンジするのも面白そう。

3階は、公園に近い方の半分に閲覧席がずらり。反対側に参考図書コーナーがあります。

参考図書のエリアにはグループ席というものもありまして、3人以上のグループはここを利用くださいとあります。8席しかないので、2~3組くらいしか座れませんが。学校の課題とかでグループ学習をするときなんかに、ここなら少し話などもしながら利用できるのでしょう。グループ席は、使っているグループがいなければ、グループでなくても自由に使うことができます。

3階の一画には、復刻図書を展示している棚がありますね。鍵のかかったガラス棚に展示してありますが、貸出もしてくれるみたいです。復刻本だけではなく、自筆原稿の複製のようなものもいくつかありました。島崎藤村の夜明け前の冒頭が展示してあります。

3階のバルコニーに近い隅っこにはパソコン利用席があります。2席で電源も利用できるとのこと。カウンターに申し込んで利用カードをもらいます。操作時の音が他の人に迷惑を掛けないようにするためでしょうが、まさに窓際という感じですね(笑)。同じ板橋区立図書館でも、小茂根図書館のパソコン利用席なんかはテラス席という感じの優雅な感さえある席なのですが、ここはなかなか哀愁が漂っています(笑)。

この図書館にいて非常に気になったのが、2階や3階にいると変な音がするんですよね。本を運ぶエレベーターの音なのかなぁ。ゴーという音がどこからともなく聞こえてくるんですよ。私が行ったのが電車が遅れるほど風が強い日だったので、その音だったのかもしれませんが。職員さんに聞いてみようかと思ったまま、結局聞かずに出てきてしまいました。

それと、中央図書館だけでなく、板橋区立図書館はわりとこの工夫をしてくれている館が多いのですが、館内の検索機のモニターの左右に厚紙で覆いをつけて、他の人から入力内容を覗かれないようにしているのです。どんな検索をしているのかというプライバシーを守るのはもちろん、最近の検索機はIDとパスワードを入力して予約ができたり、2011年から板橋区で導入した新システムでは、検索機からパスワード設定をする際に、生年月日と電話番号も入力するので、プライバシーやセキュリティ面からも他人から見られないことは重要です。厚紙という手法は何とも手作り感溢れる方法ですが(笑)、こうした配慮をしっかりしてくれている図書館は安心できます。

§ 古さを楽しむ

板橋区立中央図書館は、建物として古いことは事実。エレベーターもなく、バリアフリー面などでは劣るところもあります。書棚を見ていても、設備が古いこともあってか、本まで古く感じてしまったり。いや、実際に新しい本だけでなく、古めの本も開架にあったりするのですが、それが図書館ならではの面白さにつながっています。

たとえば、「犯罪」の棚を見ていて、グリコ森永事件に関する本を探してみると、2000年発行の『グリコ・森永事件―最重要参考人M』、2007年発行の『グリコ・森永事件「最終報告」 真犯人』、2012年発行の『未解決事件 グリコ・森永事件~捜査員300人の証言』と、いろんな時期に発行された本があるんですね。いや、もちろん、どこの図書館でも閉架請求したり、他館から取り寄せすれば、こうしたさまざまな時期の本を見ることができます。でも、板橋区立中央図書館は開架の本が他の図書館にも増して新旧取り混ぜている印象で、さっと開架の棚を見ただけでもこうした資料が発見できたりするんです。

図書館の魅力はいろいろありますが、古い本と新しい本がともに手に取れることによって、物事の変化を見ることができたり、同じ物事に関して評価が時代で変わったりするのを見ることができるのも魅力の一つ。天動説と地動説ほどではないけど、昔正しいと思われていたことに対して後に違う説が出てきたりするのを見ると、今「真実」と思われていることも鵜呑みにしすぎない方がいいかもと思ったりします。時代を俯瞰できるたくさんの資料を揃えた図書館でいろんな視点から物事を見て、広い視野を持っていたいと思います。

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