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松本清張死亡記事・追悼文集成

杉並区立中央図書館 編

作家が移り住んでくるまち、杉並。松本清張も杉並区にお住まいだったそうです。高井戸のあたりだったようですね。そんnわけで、松本清張死亡時にも杉並区立中央図書館が新聞や雑誌の死亡記事・追悼文を集めています。

こちらは、井伏鱒二 死亡記事・追悼文集成のようなちゃんとした製本というより、スクラップブックに貼り付けてある状態のものが1冊、中央図書館2階の杉並資料室にあります。読んでいると、糊付けが剥がれてきますので、丁寧にお読みください。

死亡記事を読むと媒体によって、松本清張の描かれ方が分かれています。主要紙は「社会派」「反骨」などの文字が大きく見出しを飾っています。一方、スポーツ新聞などは、いかにドラマ化された作品が多いか、また、脇役で松本清張本人が登場することもよくあったらしく、その場面などが紹介されています。

それらを見ていると、肩書きなんてメディアが勝手につけたもの、ご本人は自分の興味の赴くままに筆を走らせていたのではないかなぁと思います。この集成の中の、東京新聞1992年8月6日の中島誠氏の追悼文、「身の丈に合った眼の高さ」というのが、一番松本清張の姿を表しているのではないかと。身の丈に合った眼で見ておかしいと思うことを書いて「社会派」と言われ、身の丈に合った眼で女優たちと共演して喜んでいる。

晩年、自分には時間が足りないということをしきりに言っていたそうですね。書きたいことがありすぎて、活動が追いつかない感じだったのでしょうか。どんなことを頭に秘めたまま、逝ってしまったのでしょう。

この本は、残念ながら貸出はできません。でも、これは確かに、貸出どころか、館内閲覧の際も切り抜きが剥がれたり破れたりしないように注意が必要です。慎重に読んでくださいね。