「新社会人」

―2012年4月5日訪問時の展示
visit:2012/04/05

東葛西図書館では、図書館エリア内の階段を上って2階に上がった右先に、小さい特集コーナーを設置しています。2階カウンター向かって右の大きい特集コーナーに比べたら本当に小さいコーナーなのですが、小粒でピリリと効いた選書で、特に2012年4月5日に訪問したときの特集「新社会人」は、展示されている本をあれこれ手にとってしまいました。

§ 礼儀・マナー

新社会人として、やはり押さえておきたいのは、社会人としての礼儀やマナーですよね。今は、社員研修をきちんとしてもらえない立場、すなわち正社員ではない雇用形態でスタートする人も多いですし、正社員に対しても、昔と比べて研修などに割く時間は減っている。自分で礼儀やマナーをきちんと身につけようとしないと、新人でなくなった頃には、注意もされずにダメだという評価がついてしまいます。

ミニ特集コーナーにも、『職場での「正しいモノの言い方」養成講座』『言葉づかいの教科書』といった本が並んでいました。仕事に不慣れで頼りなかったりしても、言葉遣いがいいと「きちんとしている」という印象を与えられますもんね。業界や会社独特の風習もあるけど、一般的にはどういう言葉遣いが適切か、広い目を持っておくのも大事です。

§ メモ術・手帳術

メモ取り・手帳術が面白いほど身につく本』は、いろんなメモ術・手帳術がコンパクトにまとめられている本。著者の松山真之助さんは、「Webook of the Day」という書評メールマガジンを発行している方で、私も数年前まで購読していました(その後、真之助さんの興味と私の興味がずれてきたのでやめてしまいました)が、平日毎日1冊メルマガで本を紹介していた方です。ホームページを拝見したところ、毎日ではないけど今もメルマガは続けていらっしゃるんですね。

真之助さんは、例えばマインド・マップ(書きながら思考をまとめるワザの一つ)を極めたいと思うと、関連の本を大量に読んでメルマガで紹介する方で、そうした知識をコンパクトにまとめた本がこの『メモ取り~』という本。いろんなワザが紹介されているので、自分に合ったものを取り入れるのもいいし、既に自分のメモ術・手帳術を確立している人も、更に取り入れられる工夫を探せる本です。

ただ、この本、それぞれのワザについて見開き2ページ分しか説明されておらず、参考文献リストなどもありません。紹介されているワザについてもっと詳しく知りたいと思ったら、気になったワザ名(マインド・マップ、マンダラアートなど)をネットなどで検索してみてください。「マインド・マップ」は江戸川区立図書館の検索機で検索してもたくさん出てきますし、その他の言葉も、Webook of the Dayのバックナンバーのページで検索すれば、真之助さんが読んだ本がいろいろ出てきますよ。

§ 気持ちも大事

そうした、知識や工夫だけでなく、気持ちも大事ですよね。落ち込んだ気持ちを高めたり、緊張しすぎた心をふわっと和らげる。ずっと好調なんていうことは絶対にないけど、不調でもやらなきゃいけないことがある。学生の頃に通用した甘えも、社会人になると通用しなくなるので、ある程度自分でコントロールことも必要になります。

東葛西図書館で展示されていた本のうち、そうしたメンタル面を支えてくれる本は、『朝一番、やる気がふくらむ言葉』『朝、会社に行きたくなる技術』といった本。特に『朝、会社に行きたくなる技術』という本は、「仕事が多すぎて私生活がボロボロ」「“負け犬”の先輩からつらくあたられる」といったありがちな状況に対して、<こう考えれば楽になるよ>という考え方や行動を示してくれます。この本、語り口がいいんですよ。例えば、「つきあい残業から脱出したい」というケースに対しては、「残業なんかしないで、さっさと帰ってしまえばいいのです。でも、それができないからこそ悩んでいるんですよね。だったら、こういう風にしてみたらどうでしょう?」という感じ。「それができていたら最初から悩まないよ!」というような解決法ではなく、悩んでいる人の考えを理解して、ときにきっぱり、ときに優しく提案してくれる語り口は、本を読んでいるというより著者の方と顔を合わせて話している感覚になります。

§ 満員電車も楽しく!

最後に紹介したいのは、読んでてニンマリしてしまった『通勤電車で座る技術!』という本。やりすぎぶりが楽しめること請け合いです。電車を待つ列に並ぶときから、どのドアに並ぶか、ドアごとに3列並ぶうちどの列がいいか。いや、戦いは既にその前から始まっている、列でいいポジションをとるためには、改札で時間をロスしないように、定期券を改札にたどり着く前から用意しておけ…といった具合。自分の乗る車両で途中下車する乗客(その人の前に立って入れば座れる)をメモできる欄まで用意されています。

こう書くと、そこまでして座るなんてみっともないと思うかもしれませんが、この本は本気で座ることを第一にしているわけではなく、著者自身が満員電車を快適にすごせるよう、自分のやりすぎ度を楽しみながらやっているので、読む方も面白く読めるんです。マナーや周囲への配慮に関する考察もなかなか。子ども連れの際、一人でも多く座れるよう親の膝の上に子どもを座らせるより、子どもを座らせて親がその前に立つ方が、子どもの足が他人を蹴ることにならなくていい、という発想などは、大きくうなずいてしまいました。

§ 展示は一期一会

このミニ特集コーナーは、全部で30冊弱ほどが主に棚に並べられて紹介されている(表紙を見せて展示しているのは4冊ほど)小さなコーナーなのですが、真面目な本と楽しく読める本の割合がちょうどよくて、思わずあれこれ手に取ってしまいました。図書館の展示コーナーって飾り付けなどが目を惹きますが、やはり主役は紹介されている資料。こじんまりしているけど、興味を惹かれる本がたくさんある展示は、私も大好きです。

そういう意味では、図書館の展示コーナーって一期一会というところもあるんですよね。というのも、たいていの展示コーナーは、展示されている本が貸出可能だから。借りられて展示コーナーからなくなってしまう本もあれば、展示本冊数が少なくなって展示本を補充することもあるので、今日見た展示本と1週間後の展示本は同じとは限らないんです。実際、私が「新社会人」の展示を見ていた1時間ほどの間にも、数人の人が展示を見に来て、本を手に取っていました。階段をあがるときに見える位置だから、小さいけど目立つんですよね。

この展示がいつまでかわかりません(おそらく4月の休館日23日に次の展示に入替?)が、この記事を読んで 展示を見に行ったら、私が見たときとはまた違う本が目に入ると思います。新社会人も、社会に慣れきってしまった大人も、心新たな気分になる本をみて新年度を頑張りましょう!