「夜」

―2010年10月1日から10月31日までの展示
visit:2010/10/04

篠崎図書館の2010年10月1日から10月31日までの特集コーナーのテーマは「夜」。暑かった夏もようやく終わりましたし、秋の夜長に読書はぴったりですね。今回の篠崎図書館の展示コーナーは、夜空の上に本が並ぶスタイルで、本を読んでいろいろな空想に浸りたくなります。

展示している本は、例えば『新アラビア夜話』『夜間飛行』など、夜にからんだ小説など。『LONG NIGHT』という本は、絵本というより短文が添えられたイラスト集といった方が適切かな。男性が昔の女性を想う夜を描いた本で、切ないといえば切ないが、率直にいうと未練がましい本でもある(笑)。でも、秋ってそんな気分になりやすい季節かもね。

夜中にジャムを煮る』は、タイトルにこそ「夜」が入るものの、中を見てみたら、夜に限らず広く書かれた料理エッセイでした。ページをめくっていると、単純にお腹が空いてしまいます(笑)。でもホント、「今からこれをやったら寝るのが遅くなってしまう」と思いながらも手をつけてしまうことってありますよね。しかも、所要時間が長いことに限って、遅くなってから思いつく。で、それが料理だった場合、どんなに遅かろうと口にせずにはいられない(笑)。

深夜ラジオの「オールナイトニッポン」に関する本やCDも展示していました。『オールナイトニッポン大百科』は、本が発行された1997年までのオールナイトニッポンの歴史をまとめた本。読んでみたら、タモリやさくらももこなどもパーソナリティをやっていたことを初めて知りました。誰にとっても、「そうそう、こんな人が担当していた」という懐かしさと、「こんな人もやっていたのか」という発見がある本なのではないでしょうか。

こういう、パーソナリティが入れ替わりながら長く続いている番組って、誰のを聴いていたかで年齢がバレそうですよね(笑)。私はオールナイトニッポンといえば、断然とんねるず。たぶん今でも実家に弟が録音していたカセットテープがあると思います。今のオールナイトニッポンって、深夜ではない時間帯(22時から)にもやっていますが、こんなのオールナイトニッポンじゃない!私の場合、今は深夜ラジオを聴くときは、TBSラジオのJUNKを聴いてます。

でも、深夜ラジオって、録音して昼間に聴くと、面白さがちょっと減りますよね。テレビもそうだと思うのですが、深夜って「馬鹿馬鹿しいこと」を「面白いこと」にしてくれる魔力がある。書籍も、昼読んで面白いものと、夜読んで面白いものとがありそうです。

また、もう一つ夜の魔力を教えてくれた本が、『東京「夜」散歩』。私はこのタイトルを見て、夜の都会の散歩の本だと想ったのですが、著者の中野純さんの行動範囲はそんなものではありませんでした。都会の夜はもちろん、多摩湖やあきる野市、田無などなど、郊外の夜散歩ルポもかなりのものです。あきる野市の夜霧の写真なんて、不鮮明な白黒写真ながらも、映画のワンシーンのようです。

この本、ルポそのものもいいですが、あとがきにあった「破壊と建設」論にも共感しました。失われた町並みを復活させようとしたり、新しくできたものを批判するよりも、できちゃったものをしばらく放って置け、と。時を経ることで、どんなものも味わいが出てくるから。

私は、“何もせずに”とは思わないけど、なるべく今あるものを活かす方がいいと思っています。壊してまた造るのは、安全性などで本当にどうしようもなくなってしまう場合のみでいいし、新しくできたものも、できあがってしまった以上は、どうやってよくしていくかを考えたい。中野さんは、私よりも更に時の力を信じている考え方ですね。

その中野さんによると、時を経て得られる味わいを、もっと手っ取り早くもたらしてくれるのが「夜」なのだそうです。陽の光のもとでは、新しすぎて深みのないように見える風景も、夜になれば味わい深い風景に変わってしまう…。

でもこれ、裏を返せば、夜に素敵に見えるものが、真に素敵とは限らないということでもありますよね(笑)。上に書いた深夜ラジオ・テレビの面白さもそうだし、もしかしたら夜に惚れた異性も昼間会ったらそれほど素敵ではないかも?!夜の魅力を楽しみつつも、夜の魔力に騙されないようにご注意あれ!