「ありがたい本」

―2008年5月9日からの展示
visit:2008/05/12

東葛西図書館の特集コーナー、2008年5月9日からの特集は『ありがたい本』です。

今回のテーマに関する説明には、「黄金週間が明けて、次の楽しみは夏休み。 そんな気分でしょうか? でも、「母の日」・「父の日」の存在を忘れてもらっては困ります。」とのメッセージ。私はひねくれものなので、母の日・父の日って幼稚園通園時の行事を最後に何もしていませんが(社会全体で「○○の日」とかって盛り上がるの好きじゃないんです。逆にマイナーなものは心惹かれるんですけど 笑)、周囲の人達や環境への感謝の気持ちは忘れたくないものです。

特集コーナーは上段を中心に教会や富士山などの「ありがたい」といえるものの写真集がど~んと展示してあります。『富士Mt.Fuji』という写真集は、ページいっぱい大写しの富士山から、草木のあふれる風景の奥にかすかに見える富士山までどれもきれい。私、6月に伊豆下田に行くんですよ。東京でも見える富士山ですが、もう少し近づいたところでどう見えるか楽しみです。

古道巡礼』『聖地巡礼』といった巡礼の本もあります。『聖地巡礼』は雑誌『ダ・ヴィンチ』の連載で知床・屋久島・出雲大社等々を旅した文章を単行本にしたものなのですが、この中に「拝むということがすんなりできる人とそうでない人がいる」ということが書かれてあって、納得してしまいました。お参りに行ったとき、鳥居をくぐる時の一礼から自然にできる人を見かけると格好良ささえ感じてしまいますもん。

大きい建造物もありがたいものですが、この関連で展示されている本で面白かったのが『巨大ピラミッドの作り方 (非日常実用講座)』。ピラミッドだけでなく、奈良の大仏やサグラダ・ファミリアの作り方を初心者向け趣味の本風にさらりと書いてある本なのですが、思いっきりふざけているわけでもなく、真面目風を貫いて笑いをとるのでもなく、飄々とした文体なのがいいです。ちまちました日常に疲れときにこんな文章を読んだら視点が大きくなりそう(笑)。

そうしたありがたい場所の本だけでなく、人との関係のなかでのありがたさの本ももちろんあります。『日本一短い 父への手紙、父からの手紙』『花嫁から両親へありがとうの手紙』など、手紙の本はやっぱりたくさん展示してありますね。でも、当たり前だけど、本当には思っていないことをこういった本を参考にして書いて渡したって、むしろ反感を買いますよね(笑)。文章として上手であることよりも、本当に感謝をしているかどうかの方が大事。そういうことを伝え合える関係を築いていきたいなあ。

ありがたい関連の小説としては『書庫の母』『ナラ・レポート』『お母さんの恋人』など。私、辻井喬って結構好きで、でも『虹の岬』あたりから「好きな作家ではあるけど、これはあまり若いうちに読むものじゃないな」と思って、しばらく遠ざかっていたのですが、『書庫の母』を手に取ったらまた読みたくなってきちゃった(笑)。とりあえず、この特集を見た日は借りはしなかったのですが、近々辻井喬封印を解くかもしれません。

健康もありがたいものですよね。ということで、『知っているときっと役に立つ健康寿命をのばすクイズと体操60』『博士の異常な健康』なども展示してあります。『博士の異常な健康』を読んでいたら、加圧トレーニングをやってみようかなという気になって、特集コーナーを離れてスポーツの棚に移動して加圧トレーニングに関する本を見たところ、「自己流は危険なので絶対にやらないように!」とのこと。本を借りて試しに家で、という目論見はあっという間に崩れ去りました(笑)。

目論見は外れたものの、そんな風に展示されていた本から関連本へと手繰っていけるのも図書館の展示コーナーのいいところ。元々興味のあるジャンルの棚だけでなく、普段はあまり利用しない棚へのきっかけとしても図書館の特集コーナーはお薦めです!