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―2012年12月8日のイベント
visit:2012/12/08
§ ビブリオバトルに発表者として参加してきました

最近、書店やカフェでも開催されているビブリオバトル。都内の公立図書館でもときどき開催されていて、私も文京区本郷図書館で開催されたビブリオバトルの第3回のときに観覧者として参加してとても楽しく、次にどこかで開催するときには発表者として参加しようと、虎視眈々と図書館イベント告知をチェックしておりました。そして見つけたのが練馬区立春日町図書館のビブリオバトルで、問い合わせてみると練馬区在住などではなくても参加できるとのことでしたので、春日町図書館で発表者デビューさせていただきました。

ビブリオバトルについて説明をしておきますと、発表者が口頭で5分間の書評を行い、その後2~3分で発表者への質疑応答やディスカッションなどを行います。これを発表者の数だけ行う、つまり4人発表者がいたら、Aさんの書評発表→Aさんへの質問やディスカッション→Bさんの書評発表→(中略)→Dさんへ質問やディスカッション、といったかたちで進行します。そして最後に観覧者&発表者全員で「どの本が一番読みたくなったか?」を基準に投票を行い、最も票を多く獲得した本をチャンプ本とするというゲームです。発表者は自分の紹介本以外のものに対して1票を投じます。

大きな注意点としては、投票のポイントが「どの発表が上手だったか」ではなく「どの本が一番読みたくなったか」ということ。本郷図書館で観覧者として参加したときに、こここそが面白いところだと実感したのですが、発表者の話したエピソードと近い体験を自分がしていたり、「私も発表者と同じ感覚を味わいたい」と思ったりして、発表の上手さとはまた別の「読みたいと思わせる要素」があるんですね。だから、観覧での参加の場合でも選ぶこと自体が楽しくて、講演会などを一方的に聴くようなイベントと比べて、更にもう一歩「参加」している感覚が味わえます。

そのほかにも、「参加者自身が自分で本を選ぶ」「原稿やレジュメ・スライドを使わない」などのルールがあるので、詳しく知りたい方はぜひビブリオバトルの公式サイトの方をご覧ください。

春日町図書館でのビブリオバトルに話を戻すと、当初は発表者5人によるビブリオバトルとして企画していたところ、それを上回る応募があったそうで、2ゲームにわけての開催となりました。計8名が4名ずつに分かれて2ゲーム行い、チャンプ本もゲームごとに決まるかたちです。発表者としては2ゲームに増えたことでチャンプ本を獲得する可能性も高くなってラッキーだったかも(笑)。

§ ライブ感満点の知的書評合戦

2ゲーム行うにあたって春日町図書館が趣向を凝らしてくださって、14時のビブリオバトル開始の少し前に会場で抽選会を行いゲーム分けと発表の順番を決めました。発表者が順に箱の中からガチャガチャのカプセルをひいて開くと「○-△」(○ゲーム目の△番目の意)と書いてある紙が入っているというかたちで、公開で順番が決まっていきます。私はトップバッターでさえなければという思いでしたが、何番目かという要素もゲームの勝敗を左右するようですし、前後の方との本のジャンルの違いなども影響ありそうですよね。

そして始まったビブリオバトル。今回のビブリオバトルは「今年の私の一冊」というテーマで、発表者がそれぞれ本を紹介していきます。「知的書評合戦」なんていうと堅苦しいイベントと思う方もいらっしゃると思いますが、最初の発表者の方が「さあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!」みたいな客引きスタイルでスタートさせて、一気に場がなごみました。しかもその後、建物のそばに来た選挙カーの無線と周波数が偶然合ってしまったようで、会場のスピーカーから選挙演説が流れるという大ハプニングもあったのですが、「BGMが流れてますね」と返すアドリブ力を持つという、今思い出しても最初の発表者の方の臨機応変ぶりは素晴らしかったです。

そうかと思うと、その次の方はお薦め本のことにほとんど触れないというスタイルだったのですが、それなのに読みたくなってしまうというこの不思議。究極のチラリズムとでもいうか、チラ見せの「チ」の一画目くらいしか本のことを紹介していないのに、この人が今年一番というならと思わせられてしまい、実は私も第1ゲームは2番目のこの本(『螺旋』)に投票しました。

等々、全ては紹介しきれませんが、皆さんそれぞれ面白かったです。「こうやって発表するといい:という正解があるわけではなく、むしろ発表者の個性がその人だけの発表を作っているように感じましたね。ちなみに私は第2ゲームの4番目(つまり一番最後)に三崎亜記さんの『廃墟建築士』を紹介しました。私はもう単純に自分のブログで今年読んだ本を振り返って一番面白かった本を選びました。すぐに決まったくらい、ダントツで面白かったですからね。

私は面白く盛り上げることとかは上手ではないので、最初から本を見せて普通に話すつもりでしたが、イベント前の説明で「その発表者がどの本の話をするのかは最初から明かさず、発表者が書名を言ったときに舞台上の看板をめくって書名がわかるようにする」と言われたので、それならちょっともったいぶろうと思って(笑)、図書館の本が飛ぶ話をしてから「…そんな空想を広げている小説はこれです」と言って本を出しました。図書館の方でそうした仕掛けを作ってくれたからこそ発表者もそれを使った工夫ができました。

発表者としての反省点は、2分間の質疑応答時間に答えるときにうっかり小説のネタばらしをしてしまったこと。本を薦めるという点では、薦める人がこれから読む人にネタをばらしてはダメですよね…(苦笑)。自分の発表部分は自分なりに考えてあるので大丈夫なのですが、その場での質疑応答だとうっかりしゃべってしまう可能性があるので、発表者として出る際にはご注意を。ネタバレしたのは短編集の1作品ですので、参加者の皆さん、どうかお許しを…。

そんなかたちで出そろった皆さんの紹介本はこちらです。

第1ゲーム 第2ゲーム
1人目失楽園1人目赤めだか
2人目螺旋2人目脱成長の道―分かち合いの社会を創る
3人目とてつもない宇宙―宇宙で最も大きい・熱い・重い天体とは何か?3人目難関大学生が書いた 頭がよくなる本の読み方・選び方
4人目絵本 化鳥4人目廃墟建築士

チャンプ本は、第1ゲームが『絵本 化鳥』、第2ゲームが『廃墟建築士』と、いずれも最後の発表者がチャンプ本を獲得することに。ただ、第1ゲームは最初の投票が『螺旋』と『絵本 化鳥』が同数1位で、ビブリオバトルとしてはチャンプ本が2冊でもよかったのですが、後述する図書館からの表彰状が1枚しか用意していないとのことで決選投票へ、その結果『絵本 化鳥』と決まりました。

結果だけ見ると投票直前の発表者が有利というのはありそうですが、抽選のときにお一人の方が「1ゲームの1番と2ゲームの4番は避けたい」とぼそっと言っていたし、後半は観覧者の方が聞き疲れてくるというのもありそう。前後の方との兼ね合いもあるだそうし、確かに順番というのはゲーム結果の大きな要因になりそうですね。そういう意味で順番決めから公開イベントにしてよかったんじゃないかな。

第1回春日町図書館ビブリオバトル 賞状

私も第2ゲームのチャンプ本を獲得して、左のような可愛い表彰状をいただきました。投票していただいた皆さん、一緒に参加した皆さん、そして主催者の春日図書館さん、ありがとうございます!

もう一つ書いておきたいのは、イベントが終わったあとに司会を務めてくださった瀬部さん(ビブリオバトル普及委員会関東地区の副代表の方で、本郷図書館でのビブリオバトルでも司会を務めていらっしゃった方です)の前に行列ができていたこと。おそらく、ビブリオバルというものに興味を持った方や、自分も参加・開催したいと思った方が、ビブリオバトルについての質問をしていたんだろうと思います。私も第2回があったらぜひ参加したいと思っているくらい、本当に楽しいイベントでした。

§ 図書館利用者同士、読者同士が交流できるイベント

ビブリオバトルには「人を通して本を知る 本を通して人を知る」というキャッチコピーがあるのですが、まさにその通り。あの会場の中で一番盛り上がっていたのは発表者がいる辺りだったかもしれないと思うくらい、イベントが始まる前からいろいろお話したり、休憩時間やイベント後も紹介本についての話をしたりして、初めて会った方々なのに話が弾みました。本という媒介があることで話しやすいという面もあるし、発表を通じて人柄が見えたりするのもあるんだろうと思います。

図書館で席が隣になったくらいで他の利用者に話しかけたりってしませんが、実はそんな隣り合っただけの人が同じ本を読んでいたり、同じ作家が好きだったりするかもしれないですよね。特に、予約多数本なんかは同じ本を読んでいる人が図書館利用者の中に大勢いるはず。そんな読者同士が図書館イベントで交流できたら面白いですよね。ビブリオバトルというのは本の読者側が集まって行うイベントで、まさにそんな交流空間だと思います。私自身も今回のビブリオバトルに参加して読みたい本が増えたし、図書館で得られるお薦め本の情報って、図書館職員さんからのお薦めだけでなく、読者同士の情報交換もありですよね。

さらに、私にとっては発表者としての初参加だったわけですが、ホントに楽しかったです。そして感じたのは、私に与えられた発表時間も観覧者の皆さんが参加して場を作ってくれたということ。私はこのサイトを通じて、何度か図書館で講演会をさせていただきましたが、やはり講演となると講演者から聴いてくださる方への一方通行的なところが大きい。それに比べて、ビブリオバトルは聴いてくださる方がもう一歩こちらに近づいてくれているように感じたんです。それはおそらく、発表している人が「先生」「講師」などではなく「普通の人」である、つまり話す人と聴く人が同じ立場のイベントだから。座席も、発表者は観覧者と一緒に座っていて、自分の番になったら席から立って話すんですね。このフラットな関係がいい方向に現れているんだろうなと思います。

また、聴いた後にどれか1冊選ぶということも、聴いてくださる人が単なる「聴衆者」ではなく「参加者」になってくれる理由だと感じました。実際、面白そうな本が次々と紹介されるので、1冊選べと言われると悩むんです。でもルールとして選ばないといけないので、聴くときもぼーっとは聴いていられないというか、「参加」の姿勢で聴くかたちになるんです。

そして声を大にして言いたいのは、発表者としての参加は観覧者としての参加に増して面白いので、今回のビブリオバトルを見て面白かった方はぜひ発表者としての参加に挑戦して欲しいです。話の技術などは必要なくて、この本を紹介したいという熱意があれば誰でも参加できますからぜひ!私自身もまたイベントを探して参加したいと思っています。春日町図書館でも第2回ができたらと話していましたし、図書館の外にも目を広げれば紀伊國屋書店やカフェ(都内では西荻窪のKISSCAFEさんなど)でも開催しています。

そして、図書館関係者さんにもぜひビブリオバトルを開催して欲しいと思います。ビブリオバトルは若い人たちのイベントと思われがちですが、ルールさえわかれば年齢に関わらず参加者が集まると思います。この春日町図書館の第1回ビブリオバトルの発表者は大学生・大学院生といった年齢層が多かったですが、本郷図書館の第3回ビブリオバトルは幅広い年齢層の方が発表されていましたし。開催したいんだけどどうすればいいかわからない、運営側の注意点など知りたいという場合は、ビブリオバトル普及委員会に相談なさるといいと思います。

「図書館」と「本」という静かなイメージがあるものを使って、こんなにアクティブなイベントが開催できるなんてびっくりするくらい。図書館側も、読者側も、このエキサイティングなイベントをぜひ楽しんでください!

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