西原図書館
渋谷区立西原図書館 訪問記
渋谷区立西原図書館は、幡ヶ谷駅そばの住宅地の中にある図書館。2010(平成22)年3月8日にリニューアル開館したばかりで、都内の美術館・博物館の図録収集に力を入れています。
西原図書館は幡ヶ谷駅から歩いて5分。南口に出て、甲州街道から垂直に伸びている商店街を、甲州街道から離れる方向に進みます。途中の玉川上水緑道との交差も越えて真っ直ぐ進み、右側に升本酒店が見えたら、その手前の道を右折。ちょっと行けば、右側に西原区民複合施設が現れます。その2,3階が西原図書館。
西原図書館はリニューアルされる前に行ったとき、一度道に迷って周辺をぐるぐる歩いたのですが、この辺りはなかなか雰囲気のいい住宅地なんですよね。そのとき道案内してくれた喫茶店のママさんによると、西原から大山町あたり(代々木上原駅に近付く方面)が閑静な住宅地なのだとか。最寄り駅の幡ヶ谷駅から来れば近いですが、代々木上原駅から散歩を兼ねてのんびり歩いてくるのもいいかもしれませんね。
建物2,3階が図書館なのですが、建物入口に入っても2,3階にはどう行けばいいのか、ちょっと戸惑うかもしれません。最初の自動ドアを入ると、右前方にもう一つ自動ドアがあるので、そこを入って階段・エレベーターで上に上がってください。
上がった2階が、カウンター、児童コーナー、新聞・雑誌コーナー、参考図書コーナー。ICタグ式自動貸出機も2階に1台あります。3階全体が一般書架。また、児童向けのおはなし会を行う際は、地下1階の部屋が会場になります。
2階は「凹」形のスペースで、凹の下中央にあたる部分にカウンターがあり、カウンターの左側が児童コーナー、右手前が新聞・雑誌コーナーで、右奥に辞書類・地域資料・大活字本。後述する「美術館図録コーナー」もこの右奥の一画にあります。
児童コーナーは、飾りつけなども控えめでシンプルな印象。まだ開館したばかりだからで、これから賑やかになるのかもしれませんね。児童コーナー入口から左手前に引っ込んだ空間には、読み聞かせコーナーがあり、靴を脱いで絵本などを読むことができます。引っ込んでいる部分の仕切りが、不透明の仕切りに丸い窓が開いた形になっていて、死角を減らす意味でもいいですし、子供にとっても覗き窓っぽくてちょっと面白そう。
雑誌は、最新刊が棚の上部に表紙を見せて並んでいて、下の段にバックナンバーを所蔵する形になっています。といっても、まだ開館したばかりでバックナンバーがない状態です。最新号を置く板が扉になっていて、その扉を開けるとバックナンバーあるタイプの棚より、扉を開けるという動作の要らないこちらの方が、バックナンバーを見たいときには便利かもしれませんね。扉開けタイプは、最新刊がある際にひっかかってしまったり、わざわざ扉を開けて目当てのものがないときにがっかりしますし(笑)。
その奥の参考図書コーナーは、辞書類や地図、地域資料など。大活字本もこちらに並んでいます。新聞用の書見台が二人分しかないので、参考図書コーナーの机も新聞閲覧に使われることになりそうですね。新聞・雑誌コーナーも参考図書コーナーも、中央に席があり、壁沿いに棚があるという形(参考図書の方は壁沿いにも机が4席ある)で、席と棚の間の間隔がそれなりにあるので、あまり周囲に煩わされずに資料が読めると思います。
西原図書館が特に力を入れて収集しているのが、美術館や博物館の図録。リニューアル開館前から図録の寄贈を募ったり、美術館・博物館の協力をもらったりして集めた資料を、2階の参考図書コーナーの手前左の「美術館図録コーナー」に置いています。
棚を見ると、太田記念美術館や松濤美術館などの渋谷区内の美術館はもちろん、練馬区立美術館や世田谷美術館など区外の美術館の図録も所蔵しています。ざっと見た限り、1970年代後半から現在までに発行された図録が並んでいます。こうした図録は、自分が鑑賞した展示なら記憶がよみがえってくるし、行こうと思って行けなかった展示の内容がわかったり、一度見始めると止まりませんね(笑)。
美術館図録コーナーの右脇では、各美術館が現在行っているチラシも配っているので、そちらもチェックしたいところです。図録資料でそれまで知らなかった芸術家に巡り会って、ふと横をみたらどこかの美術館で、現在その芸術家の展示が開催されていることがわかった…なんてことになったら素敵ですね~。
そうそう、松濤美術館の図録は、この「美術館図録コーナー」だけでなく、その右にある地域資料コーナーの方にもあるので、探している方は要注意です。こちらの地域資料コーナーにある松涛美術館の図録も、「美術館図録コーナー」に入れた方がわかりやすくていいような気がしますが、何か理由があってのことなのかな。
ちなみに、美術館の図録を集めている図書館は、23区内では練馬区の貫井図書館もそうですね。こちらは、練馬区立美術館との併設施設という有利な立地ですし、収集ももっと前から行っているので、西原図書館はちょっと負けちゃうかも(笑)。でも、勝ち負けという問題ではなく、「貫井図書館にない資料が西原図書館にはある」「西原図書館にはない資料が貫井図書館にはある」といった関係が築ければ、利用者にとっては嬉しいです。
一般書架は3階全体に整然と並んでいます。昔の西原図書館は、やたらと小部屋に分かれていたのですが、ずいぶんすっきりしました(笑)。
ただ、今のところ、館内に配架図もないし、棚の見出しも図書分類番号の10の位での見出ししかなく、ちょっと本が探しにくいです。配架図は、現在カウンターで紙に印刷したものを配ってくれますが、ぜひ館内にも掲示して欲しいところ。
また、本棚の縦列の境目がとても薄く、特に小説のように本がびっしり埋まっている棚が見づらいんですよね。小説は、著者名の五十音順で、
棚の一番上の段→上から二番目の段→ … →一番下の段→右隣の列の一番上の段→…
といった具合に並んでいるのですが、列の境目がわかりにくく、「石原慎太郎、伊集院静、薄井ゆうじ、歌野正午…あれ?"イ"で始まる作家ってこれだけ? いや、間違えて隣の列までいっちゃった」なんてことになりがちなんです。境目に何か目印を設けるとか、隣り合った棚同士で段の高さをずらすとか、棚の境目がわかるような工夫があれば見やすいように思います。
閲覧席は、一般書架中央に楕円のテーブルを囲む席があり、壁沿いにもぐるりと机席が並んでいます。壁沿いの席は、一人分ずつにデスクライトがついており、これ以上目を悪くしたくない私などには、大変嬉しい設備です。
一般書架のところでも書きましたが、何といっても配架図がないのが辛い。でも、職員さんに「ここって、配架図ないですよね…」と言ったら、「今のところ、これをお配りしております」とB5版の配架図をいただいたんです。「今のところ」という言葉から察するに、将来的には館内でも掲示してくれるのではと期待しています。
配架図があれば、初めて来た人はもちろん、常連にとっても普段と違ったジャンルの棚を見たいときなどに便利ですもんね。印刷物の原稿を利用すれば、掲示用の配架図も作りやすいでしょう。とりあえず今のところは、カウンターで配架図をもらってください。
また、壁沿いの机席には、各席の正面の壁にカバープレートが2つあって、それぞれ「将来用コンセントBOX」「将来用LANBOX」というシールが貼ってあるんです。現在も、電源を使用しない持参PC利用はできるのですが、将来的には電源と優先LANも全ての席で利用できるのかもしれません。この「将来用~」というシールが、さりげない方法ながら、かなりアピールしてますね(笑)。
こんな感じで、発展の余地は感じるものの、今のところは「新しくてきれいなだけ」という印象を受けてしまいます。今までは開館準備で大変だったと思うので、それが一段落したこれからに期待したいところ。「美術館図録コーナー」もこれからもっと資料が増えるでしょうし、利用者の方々もどんどん要望を出して、「西原らしい」図書館にしていきましょう!
