西原図書館
渋谷区立西原図書館 訪問記
渋谷区立西原図書館は、幡ヶ谷駅そばの住宅地の中にある図書館。都内の美術館・博物館の図録を収集した「美術館図録コーナー」があり、渋谷区内の美術館・博物館の一覧も配布しています。これからミュージアム巡りをしたい人にも、過去の展示を振り返りたい人にもお薦めの図書館です。
西原図書館は幡ヶ谷駅から歩いて5分。南口に出て、地上に出たところで左に進み、道なりに230m歩くと道の右側に升本酒店という酒屋さんがあるので、その手前の道を右折します。そこから70mも進めば、右側に西原区民複合施設が現れます。その2,3階が西原図書館です。
この升本酒店さんが少々見落としてしまいがちで、私も一度道に迷ってこの周辺をぐるぐる歩いてしまったことがあるのですが、この辺りはなかなか雰囲気のいい住宅地なんですよね。そのとき道案内してくれた喫茶店のママさんによると、西原から大山町あたり(代々木上原駅に近付く方面)が閑静な住宅地なのだとか。最寄り駅の幡ヶ谷駅から来れば近いですが、代々木上原駅から散歩を兼ねてのんびり歩いてくるのもいいかもしれませんね。
西原図書館は古くからある図書館ですが、改築を経て2010(平成22)年3月8日にリニューアル開館したので、建物もきれいでバリアフリー面も充実しています。建物2,3階が図書館なのですが、建物入口に入っても2,3階にはどう行けばいいのか、ちょっと戸惑うかもしれません。最初の自動ドアを入ると、右前方にもう一つ自動ドアがあるので、そこを入って階段・エレベーターで上に上がってください。
上がった2階が、カウンター、児童コーナー、新聞・雑誌コーナー、参考図書(辞典類)・地域資料コーナー。ICタグ式自動貸出機も2階に1台あります。3階全体が一般書架。また、児童向けのおはなし会を行う際は、地下1階の部屋が会場になります。
児童・雑誌・カウンターなどの人の行き来が激しいエリアと一般書架が別になっているので、3階は特に落ち着いた雰囲気。先日、西原図書館に閉館時刻間際までいたら、閉館音楽に坂本龍一の『energy flow』(リゲインEB錠のCMに使われていた曲)が流れてきて、落ち着いた雰囲気にマッチした音楽がよかったです。図書館への意見箱への返事として掲示されていたのですが、西原図書館は坂本龍一のCD『ウラBTTB』に収録されている3曲を閉館音楽に使っているんですね。閉館間際の図書館のピアノのメロディーが流れる様子に、閉館時刻ぎりぎりまで粘って聞いていたくなってしまいました(笑)。
2階は「凹」形のスペースで、凹の下中央にあたる部分にカウンターがあり、カウンターの左側が児童コーナー、右手前が新聞・雑誌コーナーで、右奥に辞書類・地域資料・大活字本。西原図書館の特色である「美術館図録コーナー」もこの右奥の一画にあります。
雑誌は、最新刊が棚の上部に表紙を見せて並んでいて、下の段にバックナンバーを所蔵する形になっています。最新号を置く板が扉になっていて、その扉を開けるとバックナンバーあるタイプの棚より、扉を開けるという動作の要らないこちらの方が、バックナンバーを見たいときには便利かもしれませんね。扉開けタイプは、最新刊がある際にひっかかってしまったり、わざわざ扉を開けて目当てのものがないときにがっかりしますし(笑)。
その奥の参考図書コーナーは、辞書類や地図、地域資料など。大活字本もこちらに並んでいます。新聞用の書見台が二人分しかないので、参考図書コーナーの机も新聞閲覧に使われることになりそうですね。新聞・雑誌コーナーも参考図書コーナーも、中央に席があり、壁沿いに棚があるという形(参考図書の方は壁沿いにも机が4席ある)で、席と棚の間の間隔がそれなりにあるので、あまり周囲に煩わされずに資料が読めると思います。
2階の1/3ほどを占める児童コーナーは、手前に読み聞かせコーナーがあり、奥に書架が並んでいます。読み聞かせコーナーは三方を囲まれているエリアなのですが、そのうち一方が不透明の仕切りに丸い窓が開いた形になっていて、死角を減らす意味でもいいですし、子供にとっても覗き窓っぽくてちょっと面白そう。
絵本は読み聞かせコーナーの周りに、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、物語の作者の姓名の五十音順に並んでいます。また、児童コーナーを入った目の前の仕切りの裏にある棚には、渋谷区立図書館が選んだ「しぶやおすすめの本50コーナー」があり、絵本も児童読み物も含めたお薦めの本が並んでいます。この辺は読みもののエリアになっているので、絵本を探している方は気付きにくいかもしれませんが、こちらの棚もぜひ見てみてくださいね。
一般書架は3階全体に整然と並んでいます。リニューアル前の西原図書館は、やたらと小部屋に分かれていたのですが、ずいぶんすっきりしました(笑)。
ただ、棚の見出しも図書分類番号の先頭2桁での見出ししかなく、内容が多岐に渡るジャンルの棚は本が探しにくいです。例えば、病気に関する本の棚は「490 医学・薬学」という見出ししかなく、そのジャンルに該当する本が棚の3面分あるので、詳しく知りたい病気があって図書館に行っても、この3面に渡る棚のどこにその病気の本があるのかわかりにくい。「330 経済」なんかも同様の状態になっています。図書館の分類になじみがない人も本が探せるように、手掛かりとなる見出しをもっと充実させてくれるといいなと思います。
日本の小説は著者名の五十音順、但し、複数の著者による作品集は、タイトル名を元に、五十音順の並びに入れられています。例えば、藍川京(アイカワ キョウ)が書いたの本の隣に、6人の作家による『I love you』(アイラブユー)という本が並び、その隣に青井夏海(アオイ ナツミ)が書いた本がある、といった具合になります。
外国の小説はちょっと不思議なことになっていて、大抵の外国の小説はどの国の小説かにかかわらず「F3」という分類で、著者の姓名の五十音順に並んでいるのですが、それとは別に「○○文学」(○○は国や地域)に分類されている本もあるんです。例えば、同じ韓国で書かれた小説なのに、『バイ・コリア』は「F3 外国文学」の棚にあり、『冬のソナタ
』は「929 東洋文学」の棚にあるといった具合。小説でも、古典は9類の別の棚に置くというのなら、日本の小説などでもよく見る一般的な分け方なのですが、『冬のソナタ』は古典とは思えないし、この分類はちょっとよくわかりません。変に少しだけ9類の棚に分類されてしまっているがために気付かない人もいるでしょうし、統一した方がいいように思います。
閲覧席は、一般書架中央に楕円のテーブルを囲む席があり、壁沿いにもぐるりと机席が並んでいます。壁沿いの席は、一人分ずつにデスクライトがついており、これ以上目を悪くしたくない私などには、大変嬉しい設備です。壁沿いの各席の正面の壁にはカバープレートが2つあって、それぞれ「将来用コンセントBOX」「将来用LANBOX」というシールが貼ってあります。現在も、電源を使用しない持参PC利用はできるのですが、将来的には電源と優先LANも全ての席で利用できるのかもしれません。リニューアル開館のときからこの状態だったので、もうそろそろ「将来」が来てもいいように思いますが(笑)。西原図書館さん、図書館のPC利用環境を上げてください!
さて、こんな様子の西原図書館が力を入れて収集しているのが、美術館や博物館の図録。リニューアル開館前から図録の寄贈を募ったり、美術館・博物館の協力をもらったりして集めた資料を、2階の参考図書コーナーの手前左の「美術館図録コーナー」に置いています。
棚を見ると、太田記念美術館や松濤美術館などの渋谷区内の美術館はもちろん、練馬区立美術館や世田谷美術館など区外の美術館の図録も所蔵しています。リニューアル開館した頃と比べても、図録の冊数もますます増えています。こうした図録は、自分が鑑賞した展示なら記憶がよみがえってくるし、行こうと思って行けなかった展示の内容がわかったり、一度見始めると止まりませんね(笑)。
ちなみに、美術館の図録を集めている図書館は、23区内では練馬区の貫井図書館もそうですね。貫井図書館は練馬区立美術館との併設施設で、こちらも練馬区立図書館の図録に限らず全国の美術館の図録を収集しています。図書館&美術館好きの方は、ぜひ西原図書館とともに貫井図書館も行ってみてくださいね。
これらの図録を見て、実際に美術館・博物館巡りをしたいという人は、美術館図録コーナー内に掲示されているミュージアムマップをご参考に。渋谷区の地図の中に、区内の美術館・博物館が20館記されています。たばこと塩の博物館やBunkamura ザ・ミュージアムといった有名どころが並ぶ中、「めがねの博物館」という博物館なんかも渋谷区にあるんですね。皆さん、ご存知でした?このミュージアムマップは館内に掲示されているだけでなく、住所や館の特徴の一覧もつけてミュージアムマップの左で配布されています (傘を差したハチ=ハチ公をイメージした渋谷区立図書館のキャラクターの表紙が目印です)。ぜひこれを手に、渋谷区内のミュージアムを回ってみましょう!
