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CurrentIcon 改築前の旧・大田区立六郷図書館

旧・大田区立六郷図書館は、2016年3月31日を最後に休館し、隣接していた公園への移築工事を行っています。2018年秋頃にできあがる予定の新しい六郷図書館が開設するまでは、六郷図書館仮庁舎で図書館業務を行っています。
以下は、改築前の旧・大田区立六郷図書館の訪問記です。

改築前の旧・大田区立六郷図書館 訪問記

last visit:2016/03/26
§ 図書館の場所

六郷図書館は、京急本線の六郷土手駅と雑色駅の中間付近にあります(両駅からの道のりはこちら)。六郷土手駅は、すぐそばを流れる多摩川を越えれば川崎市という場所。その近くにある六郷図書館も、23区立図書館のなかで最も南にある図書館です。

初めて六郷図書館に行ったときは、せっかくだから水の流れる風景をと思い、多摩川土手を歩いて行ったのですが、この辺は土手から川面が見えないくらい河川敷がとても広いんです。予想していた景色でなかったのは残念ですが、これぞ川の下流という風景とも言えます。野球場がいくつもあるので休日は賑わっており、それを眺めながらの散歩もいいものです。

§ 図書館内の様子

六郷図書館は六郷保育園との複合施設で、1,2階が六郷保育園、3~5階が六郷図書館となっています。3階へ昇る手段は階段しかなく、今の基準でいうとバリアフリー面で劣っていると言わざるを得ません。1972(昭和47)年に開設されたこの建物は、大田区立図書館のなかでは1970(昭和45)年開設の大田図書館、1971(昭和46)年開設の馬込図書館(ともに197)に次いで古いのでそうした欠点がある一方、後述するように少し変わった構造になっている面白さもあります。

図書館フロア内の構成としては、3階にカウンター、家事関連雑誌コーナー、児童エリア、一般書架、CD・カセット、4階に書庫、新聞・雑誌コーナー、休憩コーナー、5階が読書室と学習室となっています。3階と5階はフロア全体が繋がっていますが、4階は書庫と新聞・雑誌コーナー、休憩コーナーが別になっており、書庫への階段を上がったら書庫へしか行けず、新聞・雑誌コーナーと休憩コーナーがある側からは3階・5階へと行き来できるという造りになっています。この4階の書庫は、職員さんだけが入れる場所ではなく、利用者も自由に入れる書庫で、古い本好きの人は楽しめると思います。

§ 3階の様子

フロア構成でわかったかと思いますが、六郷図書館の資料のほとんどは3階にあります。図書館入口を入ると、左先にカウンター、右に家事関連雑誌コーナーがあり、奥の部屋が児童エリア、そしてカウンターの前を通って奥へ進むと一般書架があります。CDやカセットはカウンター周囲の壁沿いの棚に並んでいます。カウンター前にはネット閲覧PCもありますが、来館者が一番行き来する入口脇にあり、どんなサイトを見ているかを通りがかりの人に見られてしまうので、かなり使いづらいです。

家事関連雑誌コーナーは入口そばにあるので、ロビーのような存在とでもいうか、誰かが貸出手続きをしている間に連れの人がちょっと座ったりもしています。児童エリアの手前なので、お子さんが児童エリアで本を見ている間に、親御さんが料理雑誌を見るといった光景も。保育園と併設であるだけでなく、小学校や幼稚園も近くにある住宅街なので、住民の皆さんの生活の中にある図書館という雰囲気です。

児童エリアは、入口正面に靴脱ぎスペースがあり、その周囲を絵本の棚が囲っています。その左に机が点在しており、こちらの周囲にはちしきの本がぐるり。児童読み物は入口からみて手前側の棚にずらっと並んでいますが、児童エリアの棚にしては背が高く、棚と棚の間が狭くて死角になってしまうのが気になります。その分、靴脱ぎスペースや机スペースが広くてのびのびできる点もあるので、一長一短というところでしょうか。

絵本は、日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、タイトルの頭文字で分類しています。児童読み物は幼年向けとそれ以外に分けて、更にそれぞれで日本人作家の作品と外国人作家の作品に分けて、著者姓名五十音順に並んでいます。靴脱ぎスペースの手前には外国語絵本があるし、右奥の一画には漫画があったりと、小さいながらもバラエティある資料を揃えています。

一般書架は、正方形状のシンプルな空間に本棚がずらっと並んでいます。左手前の辞典類のそばに机が4席ある以外には椅子もなし。5階に2部屋の閲覧席がたっぷりあるので、本を読む人はそちらへということなのでしょう。

日本の小説は、著者姓名五十音順に並んでいます。但し、複数作家による共著はタイトルをとって五十音順の並びのなかに入れられます。例えば、蒼空チョコ(アオゾラ チョコ)が書いた本の次に、10人の作家による『青に捧げる 悪夢』(アオニササゲルアクム)という本が並び、その次に青柳碧人(アオヤギ アイト)が書いた本がある、というかたちになります。外国小説は、国別分類などせずに「外国小説」でひとまとめにして、著者姓名五十音順です。

一般書架で注意すべきは、コンピュータ関連の本。図書館の分類法だと、同じコンピュータ関連の本でも、Excelなどのアプリケーションに関する本は「007 情報科学」、インターネットに関する本は「547 電気通信」と分かれてしまうのですが、六郷図書館ではそれらをひとまとめに見ることができるように、「007」に分類される本が「547」の隣にあります。読みたい本を検索して「007」という分類だった場合、006と008の間にあるはずと思って探しても見つからないことになってしまうのでご注意ください。

一般書架の右奥は中高生コーナーになっており、ここにも漫画があります。児童エリアにある漫画は『ヒカルの碁』『ドラゴンボール』や雑誌の「りぼん」、中高生コーナーにある漫画は『陰陽師』『サザエさん』『機動警察パトレイバー』というラインナップで、小さい子でもわかるような漫画が児童エリア、ちょっと大人の視点も入っている漫画は中高生コーナーという分類でしょうか。

§ 4階の新聞・雑誌コーナー、休憩コーナー

一般書架手前の通路から階段をあがると4階の新聞・雑誌コーナーと休憩コーナーにつながっています。ここは、2つのコーナーがあるというよりは、新聞・雑誌コーナーと休憩コーナーが一体化しているかたちで、手前に新聞・雑誌ラックと ソファがあり、その奥に飲料自販機があり、その奥にテーブルが並んでいます。テーブルのうち、4席は食事コーナー、2席はパソコン持込席なのですが、そのように張り紙がしてあるものの、同じ並びのなかにその両者があるので、休憩場所のような図書館資料を使う場所のような、つまりは休憩場所と閲覧場所が一体化しているエリアです。

雑誌ラックは本を面陳できる蓋がついているタイプで、最新号を面陳で、バックナンバーを蓋を開けた奥の棚に差して、という収納ができるようになっているのですが、蓋のサイズが最近の大きな雑誌には合わないために、最新号も蓋の中に入れていることが多いです。図書館でよく見るこの雑誌ラックは、蓋に雑誌がないと「誰かが読んでいるんだな」と判断しがちですが、サイズが合わずに面陳できない雑誌には、蓋に「バックナンバーも奥に入れています」と書いてあるので注意してください。

パソコン持込席の付近には、大田区の公衆無線LANの電波が入っているという掲示があります。実際には、このエリアはもちろんのこと、私のiPhoneでは3階児童エリア窓際あたり(この辺が4階パソコン持込席の下になります)でも電波が入りました。この大田区公衆無線LANは、メールアドレスの登録が必要ですが、登録さえすれば図書館を含めた大田区主要施設などで使えますし、訪日外国人旅行者を意識したサービスなので大田区民以外でも利用できます。詳しくは、大田区HP内の公衆無線LAN 「OTA CITY FREE Wi-Fi 」の説明をどうぞ。

§ 5階の読書室・学習室

4階の新聞・雑誌コーナーにつながる階段をそのまま上がって5階に着くと、学習室と読書室の2部屋に分かれています。ただ、掲示物によっては「閲覧室」と書いてあったりするので、「勉強する人はこちら、本を読む人はこちら」と明確に分かれている感じではなさそうです。2つの部屋の席数は、一方が58席、もう一つも 62席と多く、図書館規模や普通しか停まらない2駅の真ん中にあるという立地もあり、座席の確保しやすさはかなり高いです。

どちらの部屋も大きな机に両側から向かい合って並んで座るタイプの机ですが、正面の人との間には仕切りがあるので、比較的集中しやすいです。

§ 自由に入れる書庫

最後に紹介するのは、4階の書庫。3階の一般書架エリアの中に書庫への階段があり、入りたい人はそこを上がるだけで入ることができ、申込なども特に必要ありません。ただ、利用する人が少ないので普段は照明をつけておらず、照明のスイッチが入口から離れたところにある(階段をあがって右に折り返すように進んで突き当りをやや左に行ったところにスイッチがあります。目印に大きな矢印が貼ってあります)ので、しっかりスイッチを見つけてください。

書庫の入口には「おおむね10年以上昔の本が保存されています」と書いてあり、実際に棚を見ても確かにその通りなのですが、旅行ガイドなどは1,2年前のものも置いてあるので、新しい版を購入した時点でそれまで3階に置いていた版を書庫にあげているのだと思います。また、全集や郷土資料・行政資料は、発行年に関わらずこの書庫に置いてあります。

棚を眺めていると、社会科学や自然科学は確かに今は読む人が少ないだろうという古い本が並んでいるのですが、小説などは「えっ、これ、最近の本なのでは?」と思って奥付を見たら10年以上前だったりして、時の流れの速さを感じます。これは時の流れの速さというより、私が歳を取ったということでしょうか(笑)。

この書庫は実際には「書庫」という名の開架で、だったら単純に開架を2フロアに分けてもいいところですが、あえて「古い本を置く書庫」と「一般書架」に分けたというところが面白いと思います。おそらくは、昔は利用者が入れない書庫だったのを、どこかの時点で利用者も入れるようにしただけだと思いますが、古い本が並ぶ様は「これぞ図書館の書庫」という雰囲気でわくわくしてしまいます。

大田区の中央館である大田図書館も書庫に入れるようになっていて(こちらは申し込みが必要)、それと比べると六郷図書館の書庫はそれほど貴重な資料があるわけではないのですが、古い本に囲まれている雰囲気だけで少し気分が高まります。

私はこうしたサイトを運営しているおかげで図書館好きの方からメールをいただくのですが、図書館好きの中には古くて暗くて本棚が高くて「本に囲まれている感」を感じられる図書館が好きな人がいるんです。こうした図書館はバリアフリー面で劣っていることも多く、次々と改築されて、そうした愛好家の方とは「ここもなくなってしまった、あそこもなくなってしまった」と話しているのですが、この六郷図書館の建物も2016年3月31日をもって閉館し、隣の土地に建つ新しい建物へ移る計画になっています。

もちろん、新しい建物は誰でも使いやすい施設になるでしょうし、それによって今利用している人も使いやすく、また、今は図書館を利用していない人も利用するようになって欲しいと思いますが、暗い書庫があった六郷図書館のことも覚えておきたいです。

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